コスモス福岡支部4月歌会報告


 令和3年4月11日( 日) アクロス福岡セミナー室1においてコスモス福岡支部定例の歌会が四カ月ぶりに開かれた。提出された詠草は15首、欠席は2名、参加者は13名。選者は大野英子、司会は大西晶子。最高得点歌は尾羽根孝子の歌。

 〇背負はせて歩かせ駆けさせ座らせて紺青色のランドセル買ふ

動詞が五つも使われると通常は煩わしいが、この歌は入念にお試しをさせている様子が伝わり、使役の動詞が活きている。六年間使うものだからという思いで、入念な様子に愛が感じられる。

そのほか三首を取り上げる。

 〇政治家の濁世(ぢよくせ)コロナの塵土(ぢんど)なるにつぽん、チャチャチャと桜が咲いた

『奥の細道』の「いかなる仏の濁世塵土に示現して」にもつかわれる仏教用語が政治の腐敗とコロナの蔓延に使われている。「につぽん、チャチャチャ」はサッカーやバレーボールの日本代表を応援するときの掛け声ととれば、濁世塵土の日本をサクラが応援するように咲いたという歌になる。しかし「につぽん」の後に読点があるために、「チャチャチャと桜が咲いた」が例えばさっさと桜が咲いたというように別の意味にとられる可能性がある。

 〇フォローアー100万人のユーチューバー若者と交わすお金の話

フォローアーはフォロワー。ただし、上句で長々と人気あるユーチューバーの説明に費やしたために、下句が窮屈になり作者の思いが何も伝わらない。上句はインフルエンサーという言葉があるので、そのような言葉探しの努力をして欲しい。例えば「若者とインフルエンサーが交わしいるお金のはなし~」とすれば、空いた結句に作者の思いが入れられる。

 〇生真面目な人がメールに書く〈笑〉竹かんむりがすこうし照れて

三句の<笑>は「ワラ」か「ショウ」としか読めないので字足らず。メールを書くとは言わない。肉筆なら人柄を表すともいわれるが、入力するメールで違いが出るのか。メールで使われる(笑)に照れを感じたのだろう。「生真面目な人のメールの(笑)(カツコワラ)竹かんむりが照れてるやうな」と添削された。

  次回5月8日(土)は、福岡県内の新型コロナの新規患者数が50名を超えたため中止とします。その後の予定はあらためて連絡をします。

コスモス短歌会 福岡支部

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